手術当日〜ICU〜その2(手記を元に)
麻酔から覚めた後は、傷口の痛みと口の渇きとの闘いだった。
脳腫瘍摘出と三叉神経痛の減圧術のための傷あとは何とも云えぬ痛みで、一晩のうちに何度も看護師さんを呼び枕の位置を変えてもらった。
傷口が開かないように仰向けにはなれないため、頭の向きをやや右下にされる。
でも、何度やってもらっても頭の左側に角材を強く押し付けられているような感覚が消えない…
鼻と口を覆うようにはめられている酸素マスクからは『シューッ』と音を立てながら酸素が出ていて、鼻がカラカラに乾いて痛くなるから、口呼吸にすると喉も唇もカラカラになってしまうため、やはり看護師さんを何度も呼び、喉が渇いたと告げると、
『まだ水は飲めないから我慢してね』
と、水に浸した小さなスポンジで口の中を潤してくれた。
あっ。このスポンジ、パパが入院中にやってもらってたやつと一緒だ…と頭をよぎり、ちょっぴり嬉しくなる…パパ…
それでも喉が渇いて苦しいから、バレないように口の周りをゆっくり動かして、酸素マスクをズラしてみるけど、バレないと思ってるのは私だけで、しばらくすると見つかって定位置に戻されてしまう(;´д`)る
それを何度か繰り返していると、
『あら、またズレちゃってるわね』
『喉が…かわ…く…から…やだ…』
と、ちょっとワガママを言う。
『そうね。しんどいよね。でも、術後はちゃんと酸素を吸わなきゃ。外せるまで我慢してね。』
あと苦しかったのが、口の中が渇くのに、ヌルッとした唾が大量に出て、喉の奥に痰のように絡んでしまうこと。
酸素マスクで鼻が乾いて痛くなるのを避けるために口呼吸で息を吸うと、これが喉に詰まりそうになるので、何度か看護師さんに頼んで吐き出させてもらったが、ふと見ると、私以外にも沢山の術後?の患者さんがいるのが見えて、看護師の方々が少ない人数で忙しそうにしているのに気付いた。
『なんでも言ってくださいね』と言ってくれたけど、こんなに忙しいのにワガママは言っちゃダメだ❗️
唾は自分で吐き出さなきゃ‼️と、大手術を終えたばかりなのに、何故か気遣っている…こんな窮地にいるのに、お人好しの性格が顔を覗かせる。
でも、そう決めて看護師さんにティッシュ箱を手の届く位置(お尻の横あたり)に置いてもらった。
(それくらい頻繁に呼んでいました)
これが功を奏した…………⁉️
ゆっくり腕を動かしティッシュを取って口に当て吐き出してみる。
スローモーションみたいな速さだけど、腕が動くようになり、手でマスクをズラせるようになった。
結局、直されちゃうんだけど…笑
それから足には術後血栓防止のフットポンプが絶え間なく収縮している。
ガーガー
そして、この長い夜は、傷口の痛みと喉の渇きと痰の絡みとの闘いで、グッスリ眠れずにふけていくのであった…