負けるもんか! Emiの聴神経腫瘍・三叉神経痛・顔面神経麻痺の記録

聴神経腫瘍・三叉神経痛・顔面神経麻痺を患い、肋間神経痛・頻脈もある私の備忘録。

父の入院〜その② 手巻き寿司

父は救急搬送された病院に約2ヶ月入院していましたが救急病院だったため転院先を決めるよう言われ、母の希望で自宅近くの総合病院へ移りました。とても暖かな日でした。

 

ただ、ひとつ気になっていたのが転院先の病院には救急病院で使用していた栄養価の高い点滴と同じものがなかったこと。

 

それと入院直後、誤飲を避けるためにしばらく食事をさせてもらえず点滴で過ごしていたこと。

 

そして、食事の許可が出ても、もともとしっかりした味付け好みで、病院食は味気ないと入院してからほとんどロクな食事をしていなかったのが災いして父はだんだん痩せていきました。

 

(とは言え、加齢で入院前から食事量は年々減っていき、不思議の国のアリスに出てくるハンプティダンプティのようなお腹もかなりスマートになっていましたが…)

 

それでも、何とか食欲を取り戻して欲しかったので病院の許可を得て、スープを作って持参したり、

『何か飲む?』

『うん。買ってきてちょうだい。』

と、お見舞いのたびに自販機で飲料を買い吸い口(吸い飲み)で父に飲ませていました。

 

点滴だけでは十分な栄養が摂取できなかったので、胃ろうの話もあり、それをやるには胃が食べ物に慣れなければならないと医師から言われたので、父の無理のないようスープから固形物へ切り替えていければと考えていました。

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『パパはどこも悪くないから早く家に帰りたいよ。お母さんの料理なら沢山食べられるんだけどね。』とよく言っていました。

 

 

 

入院前、私が実家へ行き母と買い物に出る時にはいつも父の食べたい物リクエストを聞いて から買い出しに行っていました。

 

父は足腰が弱かったのと、お尻が痩せてまともに座ることができなかったのですが、腕の力はまだあったので、食事の時は片手でコタツ布団やコタツのへりを掴み、お尻の下に二つ折りにした座布団をストッパー代わりにして支えて座り、お団子とかあんみつなどを買って帰ると美味しそうにニコニコしながら食べていました。

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救急搬送された日の午後も、母と買い物から帰ってきてリクエストのあんこタップリあんみつを食べ、手巻き寿司を食べていた私を体を起こしてじーっと見て、

『何を食べてるんだ?』

『手巻き寿司だよ。食べる?』

『ひとつ頂戴。』

と、(中身は忘れましたが)最後に食べようととっておいた手巻き寿司をパクパクと食べ、

『美味しい?』

『うん、美味しい』

と言っていた父の様子を今でも鮮明に覚えています。

 

きっとこの手巻き寿司は、父が美味しいと思って食べた最後の食べ物だったと思います。 

 

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