手術当日〜ICU〜その1 (手記を元に)
『 Emiさん。 Emiさん。』
ん?先生?
『 Emi 。Emi。わかるか?』
ん?相棒の声がするような…
それに、さっきよりいろんな音が聞こえる…
少しだけ目を開けた。仄暗い部屋の中に相棒と先生の顔が見えたけど、目を開け続けるのが辛くてすぐに目が閉じてしまう…
『今、夜の11時半です。手術は12時間かかりました。よく頑張ったね。』と先生の声。
『 Emi。よく頑張ったな。』と相棒の笑顔。
その笑顔に応えようと、少しだけ頷き、微笑み返す。
『気分悪くないかな?左の手足に痺れは出てない?』と先生からの質問に、重たい頭を少〜しだけ縦に振る。
すると先生が、
『目をギューってして。口をイーして。次はウー』
言われた通りに顔を動かす。
『少し顔が曲がってるなー。目も閉じてないし、麻痺が出てるな。』
え?
先生と相棒の会話が何となく聞こえてくる。
そう言えば、顔の左側に違和感。顔と舌に痺れ。
あ…顔面神経麻痺になっちゃったんだ…私…
ぼんやりした意識の中、その現実を静かに受け入れた。
あんなにイヤだと思っていたのにショックは受けなかった…ってより、傷口が痛むしボーッとした感じで、それどころじゃないって状態。
『じゃあ、 Emi帰るね。また明日来るから。』
『うん。』…思うように話せなくて、心の中で気をつけてねって呟く。
ありがとう、相棒。
そして、ICUでの辛くて長〜い夜が始まった。
イメージ写真です。私がいたのは夜から翌朝まで。室内は薄暗かったです。