入院中惨(みじ)めだったこと
洗髪の許可が出て数日経った日のこと。
シャワーを浴びる時、予約時間の数分前には部屋を出られるよう手際よく出来るようになっていた。
①前もって看護師さんに声をかけ点滴針の処置をしてもらい、
②お風呂セットと着替えを準備して、
③目を閉じられない左目に濡れても大丈夫な貼る眼帯をして、
④浴室へ→
そして術後は頭を下に向けてはいけないと言われていたので、いつもの様にやや上を向いて顔にかからないようシャワーで髪を濡らし、洗髪を始めた。
(傷口を圧迫するので天井を仰ぎ見ることができません。)
洗髪中に髪の毛をゴシゴシする振動でふらつきが出ないようにゆっくりとシャンプーし、顔にかからないようゆっくりと丁寧に流す。
ところがその日、慣れからくる気の緩みが出たのか、いつもより勢いよくシャワーを当ててしまったのだ。
次の瞬間、顔中に大量の泡とお湯が流れた。
いつもはシワが寄らないようキレイに貼ってあるはずの眼帯も上手く貼れていなかったために、ゴボゴボと眼帯のシワの隙間から泡とお湯が入ってきて眼帯の中に溜まっていき、まるで溺れているかのように一瞬パニックになってしまった。
でも、すぐ我に返り、
『落ち着け。落ち着け。』
と自分に言い聞かせ、貼る眼帯の中で水没している目を救出すべく眼帯を剥がし、何とかシャンプーを流した。
洗い流す時にシャンプーやトリートメントが目にしみて痛かった。
情けなかった…
惨めだった…
数十年間、ずっと普通に出来ていた事が出来なくなってしまったなんて…
部屋に戻って鏡を見ると、左目は赤く充血していた。
慣れは怖い。
昨日まで、あんなに用心して流していたのに。
相棒がお見舞いに来てくれた時にその話をした。
『シャンプーハットでやれば?』
『それ、子供のでしょ?』
『大人用もあるんじゃないか?』
『本当に?』
あったら、ナイスアイデアかも♡
退院したら買いに行こう٩꒰๑❛▿❛ ॢ̩꒱
でも、本当に大人用ってあるのかな?
とにかく今回のことを肝に銘じ、洗髪を含めて何かをする時は丁寧にやらなきゃと反省した。