石鹸
2017.10.12
先日作ったハンドメイドサイトへ出品する石鹸のラッピングを考えたり、写真撮影・写真加工をした。
母に声をかけると優しく微笑みながら見てくれた。
その姿を見ていたら、
『最愛の夫を亡くした悲しみは深い』
と言っていた母の言葉をふと思い出し胸がギュッと締め付けられた。
とても仲が良くて、自慢の両親だった。
その仲の良さは、夫婦で通っていたスポーツジムでも旅行先で知り合った方々にも評判だったらしい。
そんな両親を見ながら育った私は、結婚後、夫婦とはなんぞや?と言う問題にぶち当たった。どこの家庭でも夫婦仲良しってわけじゃないんだと…。
父が亡くなり母からよく想い出話を聞くようになった。
『父親』の顔しか知らなかった私にとって、『夫』として、『社会人』として父というひとりの人間への尊敬の念が大きく大きく膨らんでいった。
母が姉を妊娠中、つわりの妻を想い、当時は高価だったレモンを仕事帰りに毎日ひとつ買ってきて、レモン汁を絞って飲ませてくれた話や、教育委員会に従事していたこと(引き出しから会員証が出てきた)、何十年にも渡りユニセフに多額の募金をしていたこと、部下の面倒をみて何人もの博士号取得者を出していた事etc…
本当の父の姿を目の当たりにした気がして、私は今まで父の何を見ていたのだろう…と父亡き後にもっともっと父のことを知りたくなり、もっともっと父と話をしておけばよかったと後悔した。
そう言えば、何気なく聞いていた両親の会話も、
『お母さん、どこどこで◯◯って花がキレイに咲いているみたいだよ。今度の休みに行こうか』
とか、
『お母さん、どこどこで◯◯って美味しい食べ物があるんだって。言ってみようか』
と、いつも母を喜ばせる事を言ってたな〜。
妻の手作り弁当も好きだったみたいで、
『お母さん、◯◯へ行こう。お弁当作って〜。』
と言い、美味しそうに食べてくれたらしい。
私の記憶の中にも、おにぎりやおかずをニコニコしながら『お母さん、美味しいね』と食べていた父の姿が残っている。
話せばキリがないが、こんな優しい夫だったから、母の悲しみの深さは計り知れない…
父が亡くなってから母は10キロ以上痩せてしまったから。
だから、母を大切にしなきゃって思う。
父が愛して止まなかった母もまた、夫の幸せを想い続けてきた人だから。
母の優しい眼差しの奥に隠されている悲しみを私が消し去ることはできないと思う。
でも、ほんの僅かでも、父に代わり母に幸せだと感じてもらえる日々を、時間を、贈ってあげたい。
私のハンドメイド作品を見て喜んでくれることがわかったから、手探りでもひとつひとつ母の喜ぶ事を探していこう。
そう思う今日この頃です。