医師の選択
以前も触れたかと思いますが、手術をする事になってからの事と医師の選択について、少しお話ししたいと思います。
私の聴神経腫瘍が見つかったのは、離婚して数ヶ月経った頃。
『息子たちと3人で生きて行かなければ❗️』と気持ちを新たにした矢先の事だった。
だから、外科手術のリスクを避けて放射線治療のサイバーナイフを選択した。
それから10年程経過した頃、小さくなっていく過程で腫瘍が変形?して三叉神経を圧迫。激痛がはしる三叉神経痛が始まった。
しばらくは癲癇(てんかん)に使われる“テグレトール”という薬で痛みを抑えていたが、半年ほどたったある日痛みが再発し、手術をする運びとなった。
私の場合は、痛みへの恐怖に支配されていたので医師(執刀医)もなるべく早い方が良いと診察から3週間後に予定を組んでくれた。
でも、この時も後遺症への恐怖があってなかなか頭を縦に振らない私に医師はこう言った。
『脳腫瘍摘出をしない限り、またいつ痛みが再発するかわからない恐怖に怯えながらの生活をこの先ずっと続けていかなければならないですよ。それなら、勇気を出して手術をして痛みから解放された生活を送れる方が良いと僕は思います。』
手術への恐怖で涙を流しながら、この痛みから逃れるためにも、穏やかな生活を取り戻すためにも、後には引けないと腹を括って医師に全てを委ねる決意をした。
痛みがいつ襲ってくるかわからないため、仕事の長期休暇を取り、手術へ向けて準備を始めた。
その時に聴神経腫瘍摘出手術で有名な医師がいるのを見つけ、手術を決意してからずっと迷い続けた。
数ヶ月待ってその医師にお願いするかどうか…
でも、私の場合は三叉神経痛という痛みの恐怖と背中合わせだったし、一日でも早く痛みから逃れたかったため、予定通り手術を受けた。
私の主治医(執刀医)は三叉神経痛や顔面痙攣の手術が専門。怖くて怖くてたまらなかった三叉神経痛は、
『もう大丈夫ですよ』と言ってもらえた。
ここ、とてもとても重要です。
それに、聴神経腫瘍摘出手術で有名な医師は、腫瘍摘出で聴神経を切断してしまうような内容を同病者ブログで何度か目にし、『失聴』と書かれている方が多い印象。顔面神経麻痺になってしまう人もいるみたいだし…(専門的なことはわからないので、これは私個人の意見です)。
私の脳腫瘍はサイバーナイフで固くなり、聴神経と顔面神経に絡みついていた難易度の高い摘出手術。もしかしたら、腫瘍と一緒に聴神経を切断するなりした方が楽だったかもしれない。
でも、私の執刀医は未だかつて経験したことのない摘出手術に果敢に挑み、聴力も残す事を考慮してくれた。右耳と比べたら1割程度の聴力だが、風呂上がりに静かな場所であれば綿棒で耳掃除をしている音が幽かに聞こえる。
だから、顔面神経麻痺になっちゃったけど、医師のその気持ちを私は汲みたい。
12時間の大手術。
その中で先生が見せてくれた患者に対しての想い。
先生、ありがとうございます。
ぶしつけな事を言われて傷ついたりもしたけど、私、先生を選んで良かった と思える瞬間が何度もある(๑˃̵ᴗ˂̵)
幽かにしか聞こえないと思うって事は、右耳と同じように左も聞こえていたという証しだ。
そしてまた、幽かにしか聞こえないと思うってことは、聴力が残っている証だ。
医師の選択は、その後の自分の人生を左右する。
私は、患者の気持ちに寄り添おうとしてくれる医師に出会えた事に感謝しています。
今日はこの辺で。
いつもありがとうございます。