聴神経腫瘍で片耳が聞こえない実情
4月から始まった朝ドラの“半分青い”。
病気で片耳が聞こえなくなってしまう少女が主人公になっている。
これを観ていると、“片耳聞こえないあるある”がものすごく出てくる。
私の場合、この主人公とは別の病気で聴力が低下したが、片耳が聞こえないメリットとデメリットを今回は話そうと思います。
まず、メリットから。
よ〜く眠れること。
私は左耳があまり聞こえなくて、正常な右耳と比べると1〜2割程度の聴力しかない。
だから、聞こえる右耳を下にして寝ると両耳を塞(ふさ)いだような状態になる。
大きな音や振動には反応するが、多分これはベッドや枕から右耳に伝わってくるんだと思う。それ以外はほぼ聞こえないため、雑音の多い時間帯の特に昼寝には重宝している。
そして、デメリット。
まずは、音の方向がわからない。
後ろから声を掛けられると、全ての音が聞こえる側の右耳に入ってくるため、右側から振り向く。
左後ろから声を掛けられた場合は、耳に異常がなければ通常は左に振り向くが、私は右に振り向くため、声を掛けた人は絶対違和感があるはず。
『え?何故こっちから振り向く?』みたいに。
遠くで音が鳴っても、どの方向から鳴っているのかがわからない。
前?後ろ?右?左?
車を運転している時、救急車がサイレンを鳴らして走ってきたとしても、その姿を確認するまでどこにいるのかがわからない。
人に遠くから呼ばれても同じ。
だから、ぐるっと一回りしてしまう。
これはまだ反応できるから良いが、左側から話されると全く聞こえず、シカトしていると思われる事もしばしば。
販売員をしているので、お客様から度々声をかけられる。
接客の時は、さり気なくお客様側に右耳が来るように移動して話をする。
でも、作業中とか、何かを書いている時に左側から声をかけられても全然わからない。何度かお客様に呼ばれて初めて気付くので、8割方ムッとされてしまう。
この間は、作業台で連絡事項を書いている時に男性に左側から声をかけられていたが、全く気付かず、
『おい❗️聞いてんのかよ❗️』
と、半ギレされた大声が右耳に入ってきて気付いた。
こんな事があると、外で働くのって向かないのかな?と落ち込んでしまうし、
『わざとやっているんじゃない❗️耳が聞こえないんだよ❗️』
って悔しくなる。
それに耳って、気配も感じる機能があるんだなって改めて思う。
道路を歩いていても、左後ろから自転車が静かに走ってくると、横を通り過ぎる時にビクッとする。相棒が一緒だと、それを知っているので手を引っ張られることもある。キコキコ音が鳴ってれば別だけど。
みんな、右から来てよ〜❗️
あとは、例えば爆音がなった場合、右耳にダイレクトに入ってくるから、右の鼓膜が破れるんじゃないかと思うくらい痛くなる事があった。
そうそう爆音なんてあるもんじゃないが、とにかく両耳聞こえてた時と音の感じ方が違う。
今じゃ比べる事もできないけど、大きな音も両耳が聞こえていた頃はここまでうるさく感じたかな?とか、両耳が聞こえてる方が音量が分散されるのかなかな?と思うくらい、大きな音が片耳だけに入ってくるのはシンドイ。
それを最初に感じたのは、聴神経腫瘍摘出後、ICUから個室に移った時。
術前は半分くらいの聴力が残っていたから、そこまでわからなかったが、とにかく右耳だけに入ってくる雑音がうるさ過ぎて気が休まらない。
夜から朝方にかけては、更に周りがシーンとなるため、誰かの足音、食事を配膳台車に乗せる食器のガチャガチャ音、看護師さんが押すナースカートに乗せてある物がぶつかり合う音が右耳にガンガン鳴り響いていた。
まるで耳元で音を立てられているように。
だから、術後ホヤホヤで痛すぎる頭をゆっくりと右側に傾けて音をシャットアウトしようと頑張ったりした。結局、痛すぎて頭を動かせず耳をしばらく塞いだりしてたかな〜。
それから耳鳴り。
これは、腫瘍で徐々に聴力が低下していった時には既にあった。
普段は忘れていたりするが、一旦気付くとずーっと気になってしまうし、日中よりは夜、音がある場所よりは静かな場所や部屋で聞こえっぱなし。
そう。この耳鳴りは一生治らないらしい。ラジオの周波数が合っていないようなザーっという音が四六時中なり続けている。
以前、母の補聴器の話の時に書いたが、店員さんに言われた『脳が必要な音と不必要な音を聞き分ける』現象?が私にも起きていて、耳鳴りに気づいた頃は今までなかった音が四六時中していたことに煩わしさを感じていたが、10年以上も付き合っていると、ほぼ気にならない。耳鳴りを脳が不必要な音として認識しているのだ。
とは言え、今、この耳鳴りの話題にふれ、夜の静かな部屋でブログを書いているから耳鳴りが聞こえてしまっているが…
まあ、片耳しか聞こえないって、こんな実情です。
これに不便さを感じているという事は、両耳が聞こえていた事実があるという事で、五体満足に産み育ててくれた両親に感謝すると共に、こんな体になってしまった事を申し訳なく思う。
この場を借りて話すが、本当に病って思考から来るってことを声を大にして言いたい。
今振り返ると、私は自分を大切に出来ていなかったな〜と思う。
イライラしたり、クヨクヨしたり、無理したり…
今だって、自分に優しくなれたわけではないけれど、前よりはちょっとだけ気遣えるようになっていると思う。
だから、病気にならないよう一人でも多くの人に意識してほしいことは、人に優しくするように、自分にも優しい人であってほしいということ。
体が資本❗️
健康第一❗️
お読みいただきありがとうございます。